<大項目> 原子力発電
<中項目> 原子力発電所の事故・故障
<小項目> 海外の原子力発電所の事故・故障・トラブル
<タイトル>
チェルノブイル原子力発電所事故の概要 (02-07-04-11)

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<概要>
 1986年 4月26日午前 1時23分(日本時間同日午前 6時23分),ソ連のチェルノブイル原子力発電所 4号機(「黒鉛減速軽水沸騰冷却型-RBMK 型」)で事故が発生,大量の放射性物質が周辺環境に放出された。事故が発生した原子力発電所はソ連が開発し,ソ連国内でしか運転されていないものであった。事故は,ある特殊な実験を遂行しようとして運転員が運転規制外の運転をして原子炉を不安定な状態に陥れ,制御棒を挿入したところ急激な過出力が発生したために生じたものである。事故によって原子炉及び原子炉建屋が破壊され次いで高温の黒鉛の飛散により火災が発生した。火災は鎮火され,引続き除染作業と原子炉部分をコンクリートで閉じ込める作業が実施された。運転員と消火作業に当った消防隊員に放射線被曝によって計31名が死亡し,発電所の周囲30kmの住民等,約13万 5千人が避難し移住させられた。

黒鉛 こくえん
 金属光沢をもった炭素の同素体のひとつ。六方層状結晶構造をもち、黒ないし鋼灰色で、硬さ1~2、比重は天然のものは約1.6であるが、人工の高密度のものは2.3で、比重の高いものほど原子炉材料としてすぐれている。黒鉛は中性子の減速能力は高く、熱中性子炉の減速材、反射材として利用される(マグノックス炉、高温ガス炉など)。また耐高温材料で強度が高く、かつ熱容量も大きいので温度変化が緩慢であり、また負の大きな反応度係数は原子炉の出力変動を抑制することができることから、高温ガス炉用材料とし利用される。
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