核医学Report_ch

放射性医薬品について

病院実習レポート 9月19日

Funekun
放射性医薬品について

核医学に用いられる放射性物質は放射性医薬品と称される。通常の医薬品との違いとして、一定の半減期に従って壊変するために、薬効が刻々と減少していく。一般に無担体かあるいはそれに近い状態のものを使用しているので、物質量としては極めて微量であり、薬理作用はほとんど無い。副作用は造影剤とは異なって、まれである。また、化学的に確認、定量することは不可能。放射性物質であるため取り扱いを誤ると放射線障害を生じる恐れがあることなどがあげられる。また、放射性医薬品としての特徴としては、特定臓器の正常組織に集積し、病巣には集積しない、逆に腫瘍や炎症などに特異的に集積する。また特定の臓器から排泄されたり、血中に長く停滞するなどの特性を利用する。

放射性物質としての特徴としては、半減期は患者の被ばく線量や公害源の問題から短半減期のものが使われる。また、体内被曝の面から放射線はα線やβ線を放出せず、50~200keVのγ線エネルギーを放出する核種が望ましい。



放射性医薬品に用いられる核種は上で述べたように短半減期のため、これを利用するには医療現場にその標識化合物を半減期対応する時間内に供給することが必要である。現在この供給方法には2つの方法がある。1つは原子炉及び各種の大型加速器を用いて核種を製造し、さらにこれを用いて標識化合物を調整した後、医療現場に供給する方法である。この方法では一般の医薬品と同様に専門家により調製、品質管理され供給される。しかし標識できる化合物はある程度範囲も限られる。もう1つは核種の製造、標識化合物の調製、品質管理などの一連の動作が医療現場で行われる方法である。この場合の核種の製造には病院内設置の超小型サイクロトロンを用いるものと、ジェネレータによるものがある。



ジェネレータ

ジェネレータとは比較的半減期の長い核種(親核種)を適当な物質に吸着させておき、これより壊変してできる短半減期の核種(娘核種)を適当な溶媒で分離溶出する装置のことである。また、これはカウとも呼ばれ、溶出することをミルキングという。この方法は放射平衡が成立する場合のみ有効であり、最も用いられているものは99Mo⁻99mTcジェネレータである。



99Mo⁻99mTcジェネレータは原子炉での98Mo(n,γ)反応またはウランの核分裂生成物から製造された99Mo(親核種)をモリブデン酸アンモニウムとし、これをプラスチック製またはガラス製の容器に入ったアルミナのカラムに吸着させておき、このカラムに生理食塩水を通すと99Moが崩壊して生成する99mTc(娘核種)がアルミナに対する吸着力が弱いため、過テクネシウム酸ナトリウム(99mTcO4-)として溶出されてくる。一度ミルキングした後親核種99Moと娘核種99mTcは23時間以内に放射平衡に達し、この時99mTcの放射能量は最大になるので毎日のミルキングでその最高の放射能の99mTcO4-を得ることができる。

心筋血流シンチグラフィ

核医学検査術学実習レポート  平成18年9月19日
城西放射線技術専門学校  nishio
    心筋血流シンチグラフィ
心筋血流シンチグラフィについて。使用していた放射性医薬品は、201TlCl(塩化タリウム)です。201Tlの半減期は、72.9時間で、135keV(2.6%),167keV(10%)のγ線と71~80KevのHg特性X線を放出するが、撮影には71~80KevのX線を使用する。TlはKと体内拳動が類似しており冠血流量に比例して局所心筋に流れNa+-K+ATPaseの介在による能動輸送により速やかに心筋に取り込まれる。冠動脈を経て心筋に取り込まれた201Tlは、一回の通過で70~85%が心筋に取り込まれるが、高度の虚血部位あるいは梗塞部位には摂取されないため心筋血流シンチグラム上欠損像となる。

後検査前から検査終了までは禁食とする。201Tlを111MBq静脈内投与し、5~10分後よりシンチグラムを撮像します。負荷心筋シンチグラフィには静脈投与前にエルゴメータを使用した運動負荷や薬剤負荷(ATP:アデホス又はジピリダモール)を行い、適正負荷直後に静脈内投与してシンチグラムを撮影していた。負荷検査では後期像として3時間後に撮影を行っていた。

SPECT撮影後、画像再構成により短軸断層(short-axial)、長軸垂直断層(vertical)、水平断層(horizontal)の画像を作成していた。

心筋梗塞

 心筋に強度の虚血部位あるいは梗塞部があると投与された201Tlはその部位に摂取されず、シンチグラム上部分的に欠損像を示していた。

狭心症

狭心症では冠動脈に狭窄性病変があっても安静時の心筋血流シンチグラムでは、正常像を示すことが多い。従って、負荷を加え、狭心発作が誘発されている際に201Tlを静注して撮影すると虚血部位が欠損像として現れる。201Tlでは、正常心筋、梗塞心筋、虚血心筋で取り込みおよび洗いだしの程度に差が見られる。このため虚血心筋では負荷時に見られた血流低下が負荷後3時間後の後期像では、消失する現象が見られた。これを再分布現象という。

脳血流シンチグラフィ

病院実習レポート 9月15日
Yura
脳血流シンチグラフィ

脳血流シンチグラフィには靜注した放射性医薬品が脳に特有な血液脳関門BBBを容易に通過し、脳血流分布に比例して脳細胞内に入り込む。その後脳細胞内に蓄積して一定時間とどまるという特徴のあるものが使われる。このような製剤に123I-IMP、99mTc-HMPAO、99mTc⁻ECDがある。



99mTc⁻ECDによる負荷試験

エステル基を導入した化合物である99mTc⁻ECDは、脳血流関門を通過し脳内に取り込まれたあと、脳内エステラーゼの作用により酵素的分解を受け水溶性化合物に代謝され投与量の約6%が脳内に保持される。本剤の脳内への集積は99mTc-HMPAOと同じく急速であり、投与後一分以内に最大となり三分以降はほぼプラトーを示す。分割投与法による負荷試験や脳血流分布のsnap shotに用いられる。また定量法としてもPatlak plot法やLassenの補正なども行われている。99mTc-HMPAOと比較して血中のバックグラウンドが低く、よりコントラストの高い画像を得ることができる。γ線エネルギーは141keVなので低エネルギーコリメータを使用する。



まず99mTc⁻ECDを370MBq投与。すぐに撮像開始する。Patlak plot法により脳内血流を求めるためである。その後、安静時のSPECT撮影開始。開始5分後に負荷薬剤ダイアモックスを投与する。ダイアモックスが効きはじめるまでは十分ほどかかる。一回目のSPECT終了と同時に再び99mTc⁻ECDを370MBq投与。再びSPECT撮影を開始、これが負荷時の画像となる。なお二回目のSPECT像は放射能が一回目の倍となるが、これはサブトラクションにより解決する。



Patlak plot法

99mTc-HMPAOあるいは99mTc⁻ECDを用いて、静注と同時にRIangiographyを行いグラフ解析によって脳血流量を求める方法がPatlak plot法として用いられている。このPatlak plot法においては、いったん脳血流関門を通過したトレーサがもう一度血管内に戻る逆拡散から生じる脳血流と集積との非直線性を補正する目的でLassenの補正式が用いられている。このLassenの補正式は定性画像においてもコントラストの改善を目的として単独で用いられることも多い。脳血流製剤の血中での標識率安定性などから99mTc⁻ECDの方が定量的に優れている。

核医学とは

病院実習レポート 2006年9月13日
Yura
核医学とは

核医学とは放射性同位元素(RI)を診断および治療に利用する分野であり、非密封RIを体内に注入し、各種臓器のシンチグラフィや機能および動態を計測するin vivo検査と、採取した血液や尿などの試料を用いてラジオイムノアッセイ(RIA)などによって体内のホルモンなどの微量物質を測定するin vitro検査に分けられる。つまりin vivo検査とin vitro検査の違いはRIを体内に投与するか(被曝があるか)ということである。

核医学診断法の特徴は放射性核種で標識された医薬品(放射性医薬品)を体内に投与して、その標的臓器への移行性や結合量をその医薬品から放出される放射線を指標として体外から検出する。SPECTやPETなどにより断層画像を得ることも可能であるが、その形態描出能は低く、機能・代謝画像として利用されることがほとんどである。





核医学検査における患者様への負担

核医学検査は一般撮影やCTなどと異なり、患者様の体内に放射性医薬品を投与するところから始まる。投与方法は静注が最も多く、他に経口投与、皮下注、穿刺などがある。体内に放射性物質を投与するため少ないながらも確実に被曝がある。また検査前に絶飲、絶食、排尿やヨードブロックなどの前処置を必要とする検査も多く負担となる。

撮影では20~30分ほど同じ体勢をとってもらうため、体の固い方や老人などには少しつらい場合もある。また、撮影中はよりよい画像を得るためにシンチカメラを体にできるだけ近づけるため、圧迫感があり閉所恐怖症の方などの撮影は少し難しくなる。

検査に負荷検査を要するものもある。負荷検査は正常時状態でのシンチグラムと比較することが多く、負荷状態との差から機能や代謝を見るものである。この負荷の状態を作るために患者様に薬剤を投与したり、心筋の運動負荷シンチでは患者様に体への負荷をかけてもらい(自転車のようなものをこぐ)、画像を得る。このように核医学検査では他の画像診断よりも患者様への負荷が大きいため、事前説明及び患者様の理解、協力が必要不可欠な検査である。

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