核医学検査術学実習レポート  平成18年9月19日

  nishio 
  
心筋血流シンチグラフィ

心筋血流シンチグラフィについて。使用していた放射性医薬品は、201TlCl(塩化タリウム)です。201Tlの半減期は、72.9時間で、135keV(2.6%),167keV(10%)のγ線と71~80KevのHg特性X線を放出するが、撮影には71~80KevのX線を使用する。TlはKと体内拳動が類似しており冠血流量に比例して局所心筋に流れNa+-K+ATPaseの介在による能動輸送により速やかに心筋に取り込まれる。冠動脈を経て心筋に取り込まれた201Tlは、一回の通過で70~85%が心筋に取り込まれるが、高度の虚血部位あるいは梗塞部位には摂取されないため心筋血流シンチグラム上欠損像となる。

後検査前から検査終了までは禁食とする。201Tlを111MBq静脈内投与し、5~10分後よりシンチグラムを撮像します。負荷心筋シンチグラフィには静脈投与前にエルゴメータを使用した運動負荷や薬剤負荷(ATP:アデホス又はジピリダモール)を行い、適正負荷直後に静脈内投与してシンチグラムを撮影していた。負荷検査では後期像として3時間後に撮影を行っていた。

SPECT撮影後、画像再構成により短軸断層(short-axial)、長軸垂直断層(vertical)、水平断層(horizontal)の画像を作成していた。

心筋梗塞

 心筋に強度の虚血部位あるいは梗塞部があると投与された201Tlはその部位に摂取されず、シンチグラム上部分的に欠損像を示していた。

狭心症

狭心症では冠動脈に狭窄性病変があっても安静時の心筋血流シンチグラムでは、正常像を示すことが多い。従って、負荷を加え、狭心発作が誘発されている際に201Tlを静注して撮影すると虚血部位が欠損像として現れる。201Tlでは、正常心筋、梗塞心筋、虚血心筋で取り込みおよび洗いだしの程度に差が見られる。このため虚血心筋では負荷時に見られた血流低下が負荷後3時間後の後期像では、消失する現象が見られた。これを再分布現象という。