病院実習レポート 9月20日

Yura

唾液腺シンチグラフィ

唾液腺の主なるものは①耳下腺(純しょう液性複合管腺:外耳道前下側の頬内側粘膜へ開口)、②顎下腺(混合性複合管状胞状腺:下顎骨下舌下へ開口)、③舌下腺(混合性複合管状胞状腺:口腔底粘膜下舌下へ開口)の3腺であり、これらの腺から唾液分泌が行われている。唾液腺の腺房の構成細胞はしょう液および粘液細胞の二種類であるが、耳下腺は前者が大部分を占め、顎下腺では両者が混在している。腺房で分泌された液の流出経路にある線状部の上皮細胞はヨード、99mTcO4-などのⅦ族陰イオンを濃縮し、管腔内に分泌する機能を有するので、この性質を利用して99mTcO4-により唾液腺シンチグラムを得ることができる。なお舌下腺は一般に99mTcの濃縮が不十分で明瞭なイメージが得られない。

検査の流れ

患者様に寝台上で背臥位になってもらい顔面がシンチカメラの視野に入るようにして99mTcO4-を148~370MBq静注する。直後に撮像開始。その後レモンによる負荷検査を行う。正面、側面、斜位と撮像する都度負荷をかける。得られたデータからROIを決定、時間脳放射能曲線を作成する。係数値が最高となる時間Tmax、Tmaxより五分後の値とTmaxの比などの半定量的パラメータを算出し、唾液腺機能を診断する。時間脳放射能曲線は正常であれば負荷直後にRIの集積した唾液が分泌されるので係数値は落ちる。マトリックスは64×64が、コリメータは低エネルギー用高分解能コリメータが用いられる。



唾液腺シンチグラフィは唾液腺機能異常の診断に有用である。X線造影法に比べ手技が簡易であり、また唾液腺の形態と機能の情報が得られる。唾液腺の炎症はウィルス、細菌以外にアルコール、放射線などによって生じる。急性期では唾液腺の99mTcO4-の集積が増加する。浮腫による管腔狭窄があれば排泄が遅延する。慢性期では集積と排泄の両者が遅延し、時間脳放射能曲線は次第に平坦となる。

唾液腺腫瘍は99mTcO4-により腫瘍に一致して欠損像(ワルチン腫瘍を除く)を示し、時に偏位の所見を示す。悪性腫瘍は67Gaクエン酸では陽性像を示し、99mTcO4-による欠損像との併用により良悪性の鑑別が可能である。

ワルチン腫瘍は99mTcO4-で陽性像を示し、排泄は遅延する。クエン酸などで刺激してもなお排泄が遅延するのが特徴であり、腫瘍は一層明瞭となる。

シェーグレン症候群の場合99mTcO4-の集積は低下遅延し、排泄も遅延する。ダイナミックイメージング、時間放射能曲線が有用である。