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核医学 骨シンチグラフィ

核医学検査実習レポート  平成18年9月29日

Nishio

本日で病院実習も最終日となりました。核医学については、参考書などを読み、使用する放射性医薬品およびその集積機序、前処置や撮影時間などを覚えてきましたが、実際の検査を見たことがなくなかなかイメージがつかめませんでした。今回の実習ではいろいろな検査を見ることができ、大変勉強になりました。また、病院などで働いたことがないので患者様に実際に接する機会がなく、どのようなことに気をつければよいのかなどについても実習で学ばせていただきました。   短い間でしたが、お世話になりました。
本当にありがとうございました。

骨シンチグラフィ

骨シンチグラフィについて。使用していた放射性医薬品は99mTc-HMDPのリン酸化合物です。99mTcの半減期は6時間、主なγ線エネルギーは141keVです。

  骨は有機質、無機質、水分よりなり無機質の基本組成はハイドロオキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2結晶である。ハイドロオキシアパタイトのCa2+,PO43+,OH-イオンは結晶表面で血中のイオンと交換が容易で、投与されたイオン放射性核種はハイドロオキシアパタイトに高率に集積する。リン酸化合物では化学的吸着も加味され、ハイドロオキシアパタイト結晶に選択的に集積するとされる。骨疾患では、代謝亢進があり、リン酸化合物はさらに多く集積する。2~4時間後には30~40%が骨に集積し、50%以上は尿中に排泄される。

99mTc標識リン酸化合物740MBq静脈投与し、3時間後に撮影を行います。前面と後面の全身2方向で約20分の撮影を行っていた。99mTc-HMDP は、肝臓から速やかに排泄されるように工夫されているので膀胱に放射性医薬品が貯留する。骨盤部読影の妨害となる膀胱の描出をさけるために撮影直前に十分排尿を行うことが大切である。また、骨シンチグラフィで最も被ばくするのは、膀胱部であり特に水分制限をうけていない患者様は静脈注射後、できるだけ水分を摂取して排尿を促進させることが望ましい。

骨シンチグラフィは、悪性腫瘍の骨転移の診断に特に有用であり、ほとんど全ての骨疾患を陽性像として描出する。特に乳癌、前立腺癌、肺癌の骨転移に対して検査が行われていた。このほかにも、骨腫瘍、多発性骨髄腫、骨折、大腿骨頭壊死、などの骨疾患に利用される。

核医学 甲状腺摂取率検査

核医学病院実習レポート 9月21日

Yura

甲状腺摂取率検査について

甲状腺は血中の無機ヨード(ヨードイオンI-)を選択的に捕獲し、これを有機化して甲状腺ホルモンを合成・分泌する。食事より摂取されたヨードは、短期間で一部は胃、大部分は腸管から血中に摂吸収される。吸収されたヨードの一部は甲状腺に摂取され、他は腎から排出される。甲状腺に摂取されたヨードは有機化され、サイログロブリンとして甲状腺内に貯蔵されてTSHの調節によって適時甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニンおよびサイロキシン)として血中に分泌される。甲状腺ヨード摂取率検査はこれらのヨードイオン捕獲能および有機化能(インビボ甲状腺代謝)を観察する検査でトレーサとして放射性ヨードが用いられる。従来はNa131Iが用いられてきたが、患者の被ばく線量の低減および甲状腺シンチグラフィにおける画質の向上を目的として、最近はNa123Iが用いられる。

検査の流れ

経口・靜注のどちらでもかまわないがカプセルを経口投与して行うのが一般的である。Na123Iでは3.7~7.4MBqを投与する。前処置としてヨード制限を行う。食事性ヨード、ヨード含有薬物・造影剤、抗甲状腺剤などの摂取により大きく摂取率に影響を及ぼす。のりやわかめ、ひじき、寒天などの海産物にヨードは多く含まれている。


ヨード制限状態をチェックするためには投与24時間値の摂取率測定に加え三時間値の測定が必要である。放射性ヨード投与後の甲状腺摂取率を経時的に測定すると、上昇型(24時間まで上昇)と下降型(3~6時間まで上昇し、24時間にかけて下降)の2型が見られる。ヨード制限が不十分な場合には有期化障害例と同様に下降型を示し、24時間値の診断価値は乏しい。

投与前に標準線源用カプセルおよび患者用カプセルを測定しておき、その比を求める。投与3時間後、24時間後に測定する。ヨード代謝(生物学的半減期)を見る場合は一週間にわたって測定するためNa131Iの使用が必要である。

測定条件はウィンドウ幅20%とし、検出器から一定の距離で一定時間測定する。

患者様撮影後、標準線源用カプセルを同条件で撮像し、ヨード摂取率を求める。正常値は24時間値で10~35%である。コリメータはNa123Iで低エネルギー高分解能型コリメータが用いられる。適応疾患として高値を示すものに甲状腺機能亢進症、慢性甲状腺炎、びまん性甲状腺腫などがあり、甲状腺機能低下症では10%以下、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎ではほとんど摂取されることは無い。

唾液腺シンチグラフィ

病院実習レポート 9月20日

Yura

唾液腺シンチグラフィ

唾液腺の主なるものは①耳下腺(純しょう液性複合管腺:外耳道前下側の頬内側粘膜へ開口)、②顎下腺(混合性複合管状胞状腺:下顎骨下舌下へ開口)、③舌下腺(混合性複合管状胞状腺:口腔底粘膜下舌下へ開口)の3腺であり、これらの腺から唾液分泌が行われている。唾液腺の腺房の構成細胞はしょう液および粘液細胞の二種類であるが、耳下腺は前者が大部分を占め、顎下腺では両者が混在している。腺房で分泌された液の流出経路にある線状部の上皮細胞はヨード、99mTcO4-などのⅦ族陰イオンを濃縮し、管腔内に分泌する機能を有するので、この性質を利用して99mTcO4-により唾液腺シンチグラムを得ることができる。なお舌下腺は一般に99mTcの濃縮が不十分で明瞭なイメージが得られない。

検査の流れ

患者様に寝台上で背臥位になってもらい顔面がシンチカメラの視野に入るようにして99mTcO4-を148~370MBq静注する。直後に撮像開始。その後レモンによる負荷検査を行う。正面、側面、斜位と撮像する都度負荷をかける。得られたデータからROIを決定、時間脳放射能曲線を作成する。係数値が最高となる時間Tmax、Tmaxより五分後の値とTmaxの比などの半定量的パラメータを算出し、唾液腺機能を診断する。時間脳放射能曲線は正常であれば負荷直後にRIの集積した唾液が分泌されるので係数値は落ちる。マトリックスは64×64が、コリメータは低エネルギー用高分解能コリメータが用いられる。



唾液腺シンチグラフィは唾液腺機能異常の診断に有用である。X線造影法に比べ手技が簡易であり、また唾液腺の形態と機能の情報が得られる。唾液腺の炎症はウィルス、細菌以外にアルコール、放射線などによって生じる。急性期では唾液腺の99mTcO4-の集積が増加する。浮腫による管腔狭窄があれば排泄が遅延する。慢性期では集積と排泄の両者が遅延し、時間脳放射能曲線は次第に平坦となる。

唾液腺腫瘍は99mTcO4-により腫瘍に一致して欠損像(ワルチン腫瘍を除く)を示し、時に偏位の所見を示す。悪性腫瘍は67Gaクエン酸では陽性像を示し、99mTcO4-による欠損像との併用により良悪性の鑑別が可能である。

ワルチン腫瘍は99mTcO4-で陽性像を示し、排泄は遅延する。クエン酸などで刺激してもなお排泄が遅延するのが特徴であり、腫瘍は一層明瞭となる。

シェーグレン症候群の場合99mTcO4-の集積は低下遅延し、排泄も遅延する。ダイナミックイメージング、時間放射能曲線が有用である。

核医学 心筋シンチグラフィにおける負荷検査について

核医学検査術学実習レポート 平成18年9月21日
nishio

心筋シンチグラフィにおける負荷検査について。

心筋虚血の判定には、負荷時および安静時の血流分布を調べる必要がある。負荷検査にはエルゴメータ等を使用した運動負荷とシピリダモール,ATPなどの薬物を静脈注入する薬物負荷の二種類がある。負荷をかける前に、身長と体重、糖尿病、朝食をとっていないか、薬は服用していないかなどの確認を行っていた。負荷検査では後期像として3時間後にも撮影を行っていた。

運動負荷

 負荷法としては自転車エルゴメータ法とトッレドミル法の二種類がある。いずれも、安全確保をしながら多段階負荷を加えながら最大負荷時に放射性医薬品の投与を行う。実習病院では自転車エルゴメータが使用されていた。静脈を確保し、心電図を取り付けてエルゴメータに乗ってもらい一分間に約60回こいでもらい負荷をかけていた。自転車エルゴメータの場合、トレッドミルと違い負荷をかけている途中で患者様がつまずいて転ぶといった危険性がないので安全なように感じた。運動負荷のend pointは狭心痛の誘発、心電図のST低下、予想最大心拍数(220-年齢)の85%への到達、著名な血圧の低下あるいは上昇、下肢の疲労などが基準となっている。放射性医薬品の心筋集積を促すために投与後1~2分間くらい負荷を継続していた。

運動負荷のほうが、放射性医薬品が目的である心筋血流に一極集中するので撮影した画像はきれいに写る。

薬物負荷

 小児や下肢の運動障害などで運動負荷が困難な患者様は、薬剤負荷(冠拡張薬であるシピリダモールやATPを投与)が行われる。静脈を確保し、心電図を取り付けてから、ATPは約6分間かけて静脈注射し、静脈注射開始4分後に放射性医薬品の投与を行っていた。

心筋血流シンチグラフィ

核医学検査術学実習レポート  平成18年9月19日

  nishio 
  
心筋血流シンチグラフィ

心筋血流シンチグラフィについて。使用していた放射性医薬品は、201TlCl(塩化タリウム)です。201Tlの半減期は、72.9時間で、135keV(2.6%),167keV(10%)のγ線と71~80KevのHg特性X線を放出するが、撮影には71~80KevのX線を使用する。TlはKと体内拳動が類似しており冠血流量に比例して局所心筋に流れNa+-K+ATPaseの介在による能動輸送により速やかに心筋に取り込まれる。冠動脈を経て心筋に取り込まれた201Tlは、一回の通過で70~85%が心筋に取り込まれるが、高度の虚血部位あるいは梗塞部位には摂取されないため心筋血流シンチグラム上欠損像となる。

後検査前から検査終了までは禁食とする。201Tlを111MBq静脈内投与し、5~10分後よりシンチグラムを撮像します。負荷心筋シンチグラフィには静脈投与前にエルゴメータを使用した運動負荷や薬剤負荷(ATP:アデホス又はジピリダモール)を行い、適正負荷直後に静脈内投与してシンチグラムを撮影していた。負荷検査では後期像として3時間後に撮影を行っていた。

SPECT撮影後、画像再構成により短軸断層(short-axial)、長軸垂直断層(vertical)、水平断層(horizontal)の画像を作成していた。

心筋梗塞

 心筋に強度の虚血部位あるいは梗塞部があると投与された201Tlはその部位に摂取されず、シンチグラム上部分的に欠損像を示していた。

狭心症

狭心症では冠動脈に狭窄性病変があっても安静時の心筋血流シンチグラムでは、正常像を示すことが多い。従って、負荷を加え、狭心発作が誘発されている際に201Tlを静注して撮影すると虚血部位が欠損像として現れる。201Tlでは、正常心筋、梗塞心筋、虚血心筋で取り込みおよび洗いだしの程度に差が見られる。このため虚血心筋では負荷時に見られた血流低下が負荷後3時間後の後期像では、消失する現象が見られた。これを再分布現象という。

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